江戸木箸 大黒屋スペシャルインタビュー
箸は自分の口に食べ物を運ぶ、命の橋(箸)渡しをする大事な道具です。
お箸の『心臓部は喰い先一寸』(箸先約3センチ)の部分。
江戸木箸は、一つ一つ神経を使い厳選された素材でバランスを見ながら仕上げております。
ぬくもりのある江戸木箸でおいしいものを味わってもらいたい、毎日そう思って一本一本心を込めて作っています。
この未開発分野を極めれば何か面白いかなと思ったんですよね。やりがいがあるというか、この分野を創っていけるというんですかね、何か、とにかくワクワクしていたというか。若い頃はそんな感じでしたね。
自分の思いをしっかりストレートに伝えた方が、伝わるなというのを三十後半くらいで気付いて。
それから自分が楽しんでとにかく話そうっていうことと、お客様が何を望んでいるかをすごく察知してあげよう。という二つを中心にお話をさせてもらっている感じですかね。
お箸って結局は人それぞれ手の大きさだったり、感覚が違うように、その方の手にしっくりくるものが、その方にとって一番いいお箸なので。
こういうのがあったらいいんじゃないか。こういうのがあったらもっと使いやすい人も増えるんじゃないか。というのを一つずつ増やしていったら今に至るので、結局は終わりがないんですよね。
その中でも、こだわっているものだったら七角利久という形ですね。それが一番、江戸木箸の中では手間のかかる技術も必要ですし。手間のかかる形になるので、代表的な逸品なのかなとは思いますね。
私が全部、一から十まで手がけている七角利久に関しては、漆も自分で全部やっているというのが最大の特徴です。
基本的には江戸木箸は、直しながら、メンテナンスをしながら繰り返し何回もお使いいただけるようなお箸になっているので、そういう中では人との付き合いというのは、お箸を使っていただいている以上途切れることはないのかなとは思います。
変わらないようにしていることは「誰のために作っているか」ってことですね。自分のためには作っちゃいけないと思うんですよ。自己満足はダメで、やはり人を満足させたい。喜ばせたいという思い。もうそれ一点です。
変わるべきことは「現状不満足主義」ですね。要するに現状に満足しないで更なる進化を求めて努力していくということ。そして、人の話もちゃんと聞く、笑。
どういう想いでこのお箸を作ったのかなとか。このお箸の塗りがどういうふうに施されているのかなとか。そういうのをしっかりと勉強して、わからなければ自分で調べる。というのを繰り返していきながら高みを目指していくのがベストかなと思いますね。
本当にやっていることは地味なんですけれども、やっていることは同じなようで、実は違うんですね。やはり進化しているので、同じような作業でも毎回毎回、微妙に違うんですよ。それの繰り返しを、何回もやっていくので。
今まで私も何十万膳ってたぶん製作してきたと思うんですね。ただそうなる中で、最初の一膳よりも今の一膳の方がしっかりしたものは作れているでしょうし、さらに一年後のその一膳の方が、ちゃんとしたものが作れればいいかなっていう思いでは日々やってますかね。
娘や息子にも、子どもたちにも木箸を使わせようかなとか、いいお箸を使わせようかなと思ってもらうまでが大変なので、今は伝えていく段階であるのかなとは思います。それでも一時よりはそういう親御さんもすごく増えてきていますので、少しずつ実は実ってきているのかなとは思いますかね。
私にとってこのお店は、江戸木箸を製作している身として、やはり若い頃からやってきているので「命を懸けているもの」です。これからもそうなんですけど。本気で取り組んで行ける唯一のものですよね。私にとっては。
見た目だけではなくて道具としての機能性で選んでみるというのも一つのお箸の選び方なので、やはりそれに特化しているのが江戸木箸だと思うので。そういう世界をより多くの方に知っていただければ、作り手としては何よりかなと思いますね。
大黒屋 丸川さん
江戸木箸 インタビュー動画
八角形を作ってみたりとか、いろんな形にチャレンジしていったというのが始まりですね。未開発分野を極めれば、何か面白いかなと思ったんですよね。やりがいがあるっていうか、この分野を創っていけるっていうことですかね.....